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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第59章 すれ違い


始業式。

バスケ部は変わらず朝から朝練で、冷えた体育館にはスキール音が響いた。

新チームでの練習。
3年生の先輩は、もういない。

今月の引退式が終われば、顔を合わせる機会も本当に減ってしまう。

当たり前のことだけれど、人数が減った体育館が、なんだかとても寂しく感じた。

涼太はまだ激しい運動は禁止されている。

暫くはまた、私が付きっ切りでウエイトトレーニングに勤しむ日々になるだろう。




朝練が終わって教室に着くと、スマートフォンにメールが届いていた。

黒子くんだ。

あ、この間メールで話していた小説、冬休み中に読み終わったから、貸してくれるって。

やったあ。

少しずつだけど、寝る前の楽しみだ。
今日の夕方、会う約束を交わした。

「り……黄瀬くん、あのさ」

いけない、休みが長かったから呼び方を間違えそう。

「……」

涼太は、1点を見つめたまま反応しない。

「黄瀬くん?」

目の前で手をヒラヒラと振ると、ハッとしてこちらを向いた。

「あ、ごめん。なんスか?」

「凄く盛大にボーッとしてるけど……平気? あのね、私今日」

「オレ今日、部活終わったら行くところがあって」

「あ、そう……なんだ」

どうしたんだろう。
こんなに余裕のない涼太は珍しい。

「また、帰る時連絡するっスね」

「うん、分かった」

……なんだか、黒子くんとの約束を言い出せる雰囲気ではなくなってしまったな。

涼太は今日1日うわの空で、それでもしっかり厳しいウエイトトレーニングを済ませていった。

「じゃあ、また夜に」

それだけ告げて、さっさと先に帰っていってしまった。

涼太の様子は気になったけど、私も、駅前のマジバで黒子くんと待ち合わせだ。

待たせてしまわないように、急ごう。




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