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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第57章 透明な君


不自然にガタガタ音のする部屋、微かに呻くような声が聞こえ、一瞬ドアを開けるのを迷ったが思い切って開けて正解だった。

スカートを捲られ、尻が露わになったみわがそこにはいた。

なんの悪夢か。

……間に合ってよかった……。
でも。

「なんで止めるんスか……! あんなヤツ何発殴ったって足りねぇ! 殺してやる!」

「だめ……! っ、いた……っ」

「みわっ! 痛む!?」

「だ、大丈夫……っ」

力ずくで押さえられたせいで、肩を痛めてしまったようだ。

「みわ、……そもそもなんでこんな所に?」

テーブルの上にはクリアファイルが置いてある。

これのせいか…?

「み、見ないでっ!」

肩の痛みも腕の痛みも忘れたように、みわはクリアファイルを奪い取った。

抱きしめてやりたいのに、みわの行動ひとつひとつに距離を感じさせられる。

「りょうた、大丈夫だから、お願い、お願い……」

震える身体で懇願する姿に、殺意は丸ごと呑み込まれてしまった。

傷付いたその姿に、胸が痛む。

「……みわ、帰ろう」

殴り飛ばした男に侮蔑の視線を投げ、部屋を出た。

帰ろう。
一刻も早く家へ。





「あ、黄瀬君遅かったねー! 料理来たよ! コッチコッチ!!」

オレは自分とみわの荷物を手に取り、入り口に向かった。

「あれ? 黄瀬君帰るの?」

一瞬場が静まる。

「……みわはオレの女です。みわに手を出す奴は、どいつだろうと……許さない」

呆気に取られているみわの肩を抱いて店を出た。

黄瀬が去った後の店内では、女子がみわを羨ましがり、悲鳴を上げ、悶えた。




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