第54章 記憶
冷えた空気に満ちた室内。
熱い息を吐くふたりの身体はこれ以上にないくらい高揚している。
涼太が、動いていないのにいったのが初めてで、少し驚いてしまった。
私も、前にゆっくりした時に同じような状態になったけれど……。
少し様子が違っているように見えたのと関係があるの……?
「涼太……だいじょうぶ……?」
顔に張り付いた黄色の髪をそっと持ち上げると、身体の熱が髪にまで伝わっているのを感じる。
「はぁ……は、ごめん……すげー自分勝手にイッちゃった……」
「……そんなことないよ……」
少し汗ばんでいる身体をぎゅっと抱きしめた。
なんだか、放っておいたら壊れてしまいそうで。
でも、涼太の表情は凄く穏やかで優しいものに変わっていた。
頬を撫でてくれる手には、力が入っていない。
幸せ。
こうしているのが、凄く幸せで。
体温がひとつになる感覚が、やめられない。
ふたりでお互いの身体に触れているうちに、深い深い眠りに落ちてしまった。