第51章 おかえり
一度頂点に登りつめたあとは、自分を完全に見失っていた。
「っあ、っ……あぁあ」
「あ、う、みわ……締めすぎ……」
「りょうた、りょ、きもちい、たすけてぇ、あぁああ」
なぜこんなに乱れているのか自分でも分からない。
なぜこんなに気持ちいいのか誰かおしえて。
涼太の腰の動きに合わせて陰核を彼の下腹部に擦るように、自分からグイグイ押しつけてしまう。
「っあ、あぁん、涼太、涼太あ」
「……は、もう、カワイー……みわ、そんなに寂しかった……?」
寂しかった……うん、寂しかった。
でも、それよりももっともっと、怖かった。
大切な人との想い出を二度と思い出せないのではないか。
共有していた大切な気持ちを失ってしまった喪失感。
あんな気持ちには、二度となりたくない。
私の中に、彼を刻みつけたい。
それが、私を狂わせていた。
「りょ、た、ごめんな、さい……わたしだけ……あっ、あぁん、ぅ……」
「ぁ、みわ……ヤバいって、そんなに……っく、……はぁ、はぁ……」
誰も、誰も邪魔しないで。
ふたりを隔てている薄い膜1枚ですら、邪魔をして欲しくない。
熱い液体を、私の中に注いで欲しい。
そんな欲望が頭をもたげた。
理性は完全に吹き飛び、最後には泣き叫んで喘いでいた。
「あ、ぁぁあ、りょうた、りょうた、りょうたあ」
「……ぅ……あァ、……っあ……みわ……ヤバ……い、イキそ……」
だめ。
涼太、私の中に出して。
「やっ、だめ、あっ、アァァァ……!」
再び絶頂を迎えた私の肉が涼太を締め上げ、苦しげな声を上げた彼の屹立から精液が放出されるのを薄いゴム越しに感じた。
その感覚にも凄まじい快感を感じ、快楽の渦に攫われて意識を失った。