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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


一瞬窓の外に見えた夜景も、今はなんにも見えない。

眼前に広がる色合い豊かなTシャツの向こうから、速くなった鼓動を感じる。

涼太もドキドキ、するのかな。
背中に回した腕に、つい力を込めてしまう。

離したくない。
離れたくない。
そんな感情に、胸が埋め尽くされていく。

愛しいと思う気持ちに支配されて、湧き上がる衝動と情動が抑えられない。

そのまま、どちらからともなく唇を重ねた。
最初は、感触を楽しむかのように触れるだけ……いつもの涼太のキスだ。

今彼がここにいるのだと、彼と触れ合っているのだと思い知らされる圧倒的な存在感に、優しい口づけ。

頬に触れる手が、あったかくて。

唇が離れて、こつんとおでこがぶつかって、上目遣いの瞳と目が合ったと思ったら……また、キス。

今度は……深い深い……

「……ん……っ」

口内を愛撫されて、変な声が漏れてしまう。
腰にも力が入らない。
涼太が支えてくれているから辛うじて立っていられるけど……。

そんな私の状況を知ってか知らずか、涼太は、壁際にあったテーブルのような台へ私を腰掛けさせた。

「あ……っ」

大きな手が、休む事なく身体中を這い回る。
服はスルリと肌を滑っていき、あれよあれよと言う間に下着姿にされてしまった。

適度に冷えた部屋のせいで忘れてしまっていたけれど、こんな暑い夏の日……まだお風呂にも入っていないのに。

「あぁ、ん」

「もーこんなに硬くして」

「あん……っ」

胸の先端を巧みに転がされて強く吸われたら、躊躇いが一気に吹き飛ばされてしまった。

身体は勝手に先へ先へと進もうとする。

じくじく疼く下半身には触れて貰えなくて、あちこち舐められたり、時には噛まれたり……気持ちが良すぎて、もどかしくて、発狂してしまいそうだ。

力が抜けていく手で、涼太の身体に触れる。

ぴくんと反応を見せるのが、嬉しすぎて。
言葉はなく、視線を交わしたまま触り合って、お互いの存在を再認識する。


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