第80章 進展
「大丈夫……私たちは、そんな風にはならないよ」
なんて伝えたらいいのか、なんて分からないけれど、今はとにかく、この気持ちを素直に伝えよう。
「涼太とどんな風にしたって、性欲……処理なんて微塵も思わないよ。だって、涼太の気持ちがちゃんと伝わってくるもの」
「……今日は随分、ハッキリ言ってくれるんスね」
驚いたように、戸惑ったように、少し嬉しそうに微笑むその表情は、涼太の説明出来ない感情を表してるみたいで。
「いつも……思ってるのに、上手く言えなくてごめんなさい。ちゃんと、ちゃんと伝わってるよ」
言わなくても伝わる、なんて都合のいい事はないよね。
涼太も以前、言ってたじゃない。
ちゃんと、伝えようって。
「涼太が、涼太が大好きだよ。だからそんなに悲しいこと、言わないで。そのまんまの涼太が好き。全部好きだから」
いつも、愛してくれる涼太に甘えてたんだ。
私からは全然お返し出来てなかった。
「涼太の強い所、大好きだけど……だからって、全部自分で抱え込まないでっていつも思ってるよ。いつも言ってくれるよね、みわはひとりじゃないって。涼太も、ひとりじゃないから」
「ちょ、ちょ、待ってみわ、破壊力が」
涼太がこうやって頬を赤く染めるのは珍しい、かもしれない。
でも、そんな表情の変化をゆっくり楽しむ余裕もなくて。
「待てないよ……ごめんなさい、私、もう今いっぱいいっぱい」
どうしたらちゃんと伝わるかな、とか。
その傷付いた気持ちを、少しでも和らげてあげたい、とか。
様々な感情が渦巻いて、もはや自分では制御出来ない。
「大好き……涼太」
どんなあなたでも、大好きだもん。
無意識に自分を責めるなんて、悲しいこと、しないで……。
ゆっくり重ねた唇を、身体のラインに沿って下ろしていく。
「っ……っ、は」
涼太の口から漏れた甘い声に煽られて、私ももう止められない。
戸惑うように宙を掻く手をそっと捕まえて、ひたすらに唇と舌を這わせた。