第79章 邂逅
たまに考えたりしてたけど、よく考えると、ゾッとするようなコトだ。
今まで人生の中で起こった出来事が、ほんの少しでも違っていたら、今ここに居るオレは全く違う人間だったかもしれない。
バスケに出逢ってなかったら、今も退屈な毎日だったかもしれない。
そうすれば、海常に進学するコトもなかっただろう。
センパイ達にも出逢いもせず、チームワークなんて言葉の意味を分からないまま生きていただろう。
みわに出逢ってなかったら、女遊びしてたかな。
皆オレの顔と身体が大好きなんだろって諦めながら、抱いていたかもしれない。
「センパイも……いつも、ありがとうございます」
「急になんだよ、気持ちわりぃな」
考えれば考えるほど、このキセキが大切なものだって気が付く。
……そして、失うのが怖くなっていく。
誰かを自分のものにするなんて、できっこないのは分かっているのに。
いつまでもそのヒトのイチバンで居ることが、どれだけ難しいか誰よりも分かっているのに。
どうしてこんなに、欲しいんだろう。
オトナになれば、変わんのかな。
オレがガキだからかな。
……この時みわにプロポーズしていたら、オレたちの未来は変わってたかな。
未だそんなコトばっかり、考えるんスわ。