第77章 共栄
「リョータ! 何してんの?」
「ん……ああ、ちょっと想い出に浸ってたんス」
「また例の彼女の事? もう忘れなって」
見上げれば、青い空。
あの時と全く同じように見えるのに。
照りつける強い日差しで、アスファルトはジリジリと焦げ付くようだ。
あの時
19歳だったオレは
みわとの未来を
疑ってもいなかった。
あれから……何年かの時が経った今
どうして
オレの隣に
みわはいないんだろうか?
何が間違っていたんだろう。
答えはまだ、出ない。
オレはまだ、みわがいない事を
受け入れられずにいる。
だからもう少しだけ
今はみわとの想い出に
浸りたい……。
第77章 『共栄』 完