第76章 清新
「みわ……大丈夫っスか」
血が上って興奮しすぎていた頭が、射精とともに落ち着きを取り戻してくる。
身体は怠くて、このまんま布団に身を投げてしまいたい……けれど、オレの下に居るみわの姿を見て、そんな事言ってらんないと思い直す。
「ん……へ、き」
持ち上げている足も、深く重なっている腰も、ナカも、限界という風に痙攣してる。
これ以上無理な体勢にならないようにと、ゆっくりと繋がりをほどいた。
「んあ、ぁあ……」
抜く際にも再びぶるりと震える肢体。
先端が白く膨らんだ避妊具を纏ったモノを時間をかけて抜くと、彼女の中心からとろりと流れ出す愛液。
激しくピストン運動をした時の名残りだろうか、泡立っている。
それを見て疼く欲には目を瞑って、ベッドの下へと落ちていた薄い掛け布団を引っぱり上げ、とりあえずみわの身体にかけた。
ジメジメする蒸し暑さを取り除こうとかけていたエアコンで、風邪を引いてしまいそうだ。
枕元に置いてあるリモコンで、設定温度を2度ほど上げる。
みわの頭を優しく撫でると、気持ちよさそうに濡れた目を瞑った。
ささっと自分の処理だけ済ませて、飲み物と蒸しタオルを作ってこようとベッドを下りようとしたその時、震える手に手首を掴まれた。
「……行かない、で……」
「みわ?」
「ひとりに……しないで」
か細い声。
ワンルームのこの部屋で、すぐそこに見えるキッチンに行こうとしただけなんだけど……
みわにとっては、そういう問題じゃないんだろう。
胸に渦巻く孤独、少しでも和らぐだろうか。
布団に潜り込み、まだ火照る身体を抱きしめた。
「ごめんね。カラダ……辛くないスか」
腰の後ろをそっと撫でると、素直にびくんと反応してくれる。
「だい……じょうぶ……ちょっと、怠いだけ」
……あれで、良かったんだろうか?
みわを愛しいと思う気持ち、抱きたいと思う気持ちのまま、抱いた。
本当はもっと、みわのトラウマと向き合いながら、ゆっくり少しずつするべきだったのか?
答えの出ない問いが、頭をグルグル巡る。