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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第76章 清新


「はッ……は、はぁ」

荒い息をその美しい唇から漏らし、肩の筋肉がしなやかに隆起し、割れた腹筋が前後する。

……きれい……

彼の動きと同期して、身体が痺れるような快感が送り込まれてくる。

涼太が奥まで入って来やすいように、彼がもっと気持ち良くなるようにと、私は無意識のうちに腰をゆらゆらと揺らしていた。

「りょうた……きもち、いい……」

ぼんやりした頭で考えるのは、目の前のひと……涼太のことだけ。

どうして、こんなひとが、私と……。

今まで、沢山の事があった。
お母さんの恋人に犯され続けて、でも涼太と出逢ってようやく前を向けると思った矢先に、あの事件があって……。

でも、私は今まで一度も自分を"不幸だ"なんて思った事がない。

男たちに犯されたのは"現実"で"事実"だけど、それ以上でもそれ以下でもなかった。

深く考えた事はなかったけど、無意識のうちに自分を守ってたのかな。
これで、自分が"不幸なんだ"って自覚してしまったら、とてもじゃないけどここまで……涼太に出逢うまで頑張って来れなかったと思う。

それと同時に分からなかった感覚。
"幸せ"って何か。

このひとに出逢って、初めて知った気持ち。
胸が、押し潰されそう。

好き。
大好き。
こんな言葉じゃ表せないくらい、大切なひと。

左手がジンと痺れる。
鼻がツンと痛い。

「あッ、あ……ん、涼太……っ」

「気持ちい? 良かった、オレも」

ゆるりと癒すように重なる唇。
とろりと唇の間で交わし合う体液。
ぽろりと瞳から熱いものが零れて……。

あったかい。

止まらぬ抽迭に、お腹の奥の底の方から大きな波が来るのを感じる。

「ん、んぁ、だめ……待って涼太、あの、気持ちよすぎて……」

「イッちゃいそ……?」

涼太の優しい声色とは対照的に、結合部からは、ぐぷりぐぷりと絶え間無く届く音。

「や、また私だけ、やぁ、あ──……っ」

いつか見た大輪の花火のように、様々な色が目の前で散っていくようだった。

いつまでも焼き付いているのは鮮やかな、黄色。



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