第76章 清新
「……アンタほんとに、分かってねぇんスね」
「え……なに、を?」
とぼけたカオして。
あんなに頭いいくせに、ほんっとに、ニブイんだから。
「オレがどんだけ、みわを好きかってさ」
「ん」
こめかみにキスを落とすと、くすぐったそうに身を捩る。
その仕草にも煽られるんだから、重症。
「言ってるっスよね? オレはみわが欲しいんだって」
「……っん」
「ねえ、オレのここが今どうなってるか、分かってんの?」
細い手首を掴んで、下腹部へ誘導した。
下着越しでも十分に伝わる、この昂り。
「…………あ」
「みわとこうやってるだけで、こんなんなるんスよ……マジで、責任取って」
「うあ、あの、あの」
みわは頬を真っ赤に染めて、ソコを凝視してる。
……今のオレの状態が伝わったならいいんスけど……今はこれ以上は無理、だろう。
「……って、はは、責任とって、は冗談として。
ほら、身体冷えるっスよ、服着」
「りょうた」
返ってきた言葉は、小さくて小さくて消えてしまいそうだった。
「……みわ?」
膝を抱えて顔を隠してしまったみわを、覗き込む。
「本当? 本当に、私と、……出来る?」
「なん、だって?」
みわと、出来るかって?
「だって、私……いっぱい、たくさん、あのひとたちに、挿れられて、犯さ、れて……だから」
「みわ、ピアスの文字、覚えてる?」
「っ」
みわは変わらずにオレに抱かれたいと思ってくれてんスよね?
オレだけがしたいって思ってんなら、どんだけでも待つっスよ。
でも、こんな事言われたらもう、止めねぇ。
「ありきたりで単純かもしんないけどさ……これがオレの気持ち。これ以外で表現出来なかったんス」
耳元で囁く代わりに、指先でオレが開けた右耳のピアスに触れた。
重ね合う唇が、深みを増していく。
こころの一番奥深くまで届きますように、
この気持ち。
I love you.