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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気


「まあ、あくまでもこれは俺の考えに過ぎないけれどもね」

「いや、完璧ではないとしても、的を得てるとは俺も思うのだよ」

「はい……私も、思い当たる事があります」




目の前の景色が、少し前よりも色鮮やかに感じる。

なんだか、頭がスッキリしたみたい。

これだったんだ、ずっと不思議に思ってたこと。


……最初に違和感を感じたのは、いつだったっけ。

あれは……そうだ、付き合い始めた高1の、夏。

涼太のおうちに泊まって、一緒に花火をした時。

どうして、私の気持ちを試すような事をするんだろうって。

あんなにも自信がある涼太が、時々見せるそういう態度。

好きだと言い合って、肌を合わせていても時折見せる寂しげな表情。

なんだかおかしいって思ってたんだ。
ずっと、気になっていたんだ。

原因は、きっとこれ。

涼太は、信じ切れなかったんだ。
私が、ずっと彼の隣にいることを。

それは、信用してないって事じゃない。

とっても悲しい事だけど、涼太は今までの経験から、そう思わざるを得なくなっていたんだ。

そうだったんだ……。




「神崎さん……部外者の俺がこんな事を言ってしまって申し訳なかった」

「いえ、ずっと……モヤモヤしていたんです。
ありがとうございます」

「今日の赤司は、いやに黄瀬に構うのだな。何故なのだよ」

「まあ、黄瀬は俺たちの中で、末っ子みたいなものだからな」

まるで長兄のような、慈愛に満ちた赤司さんのこんな微笑みを見るのは初めてだった。





涼太に、
伝えたい。



私の気持ち。



「そうは言っても、黄瀬も単純すぎて手が付けられなくなる事もあるからな。
もし何か困ったら、遠慮なく相談してくれて構わないよ」

「あの、私にどうしてそんなに良くして下さるんですか……?」

「そうか、友人だと思っているのは俺だけだったのかな?」

「……!
いえ、私も……お友達だと、思ってます」


涼太の太陽みたいな光は、こうして私の周り、全てを照らしてくれている。

現在だけじゃなくて、未来まで。



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