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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第72章 悋気






数時間前、赤司さんの部屋で。

「緑間、神崎さん、面白そうな話をしているね」

ババ抜きを終えた赤司さんが、話をしている緑間さんと私の所へやってきた。

「赤司」

「赤司さん……」

「黄瀬の話だろう?」

その突然の発言に、思わず緑間さんと顔を見合わせた。

「聞こえて……は、いなかった筈だな。相変わらずの察しの良さが怖いのだよ。
2人が一緒に居る事について話していた」

赤司さんのこの瞳。

力のある瞳だ。
涼太の瞳とはまた異なる力を持った瞳。

出会った時は少し苦手だったけれど……今は頼もしくすら感じてしまう。


「2人が一緒に居るメリット、という事か」

「そうだ。俺には、それがあるようには思えないのだよ。
余計なお世話かもしれないが」

気づけば話が進んでいる。

……赤司さんまで、この話に巻き込んでしまった。

「まあ、メリットデメリットで判断するものではないかもしれないが……お互い、一番求めているものを満たし合える存在なんじゃないか」

一番……求めているもの?

涼太と?
私が?
それぞれに?

「鳩が豆鉄砲を食ったような顔だね、神崎さん」

「……赤司、俺も分からないのだよ」


「神崎さん、多くのものを持つ人間は、常に前を見て、更に先を求めるものだ」

「先を……」

常に前を見て、更に先を……
涼太にピッタリの言葉だ。

過去にばかり囚われている私とは正反対の、キラキラとした未来に向かっていく涼太。


「黄瀬は、自信がないんだろう」


赤司さんの口から出たその言葉は、あまりに意外すぎてなかなか耳に馴染まなかった。



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