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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第71章 笑顔


「みわ……」

力なく腰に回される腕。

ひやりとした芝の感触を半身に感じながら、私と涼太は暫く身を寄せ合い、抱き合っていた。

何を言ってあげられるだろう。
悩んでいる涼太に、なんて声をかけてあげたらいいんだろう。

そんな事ばかり考えてしまっていたら……


「……みわ、気遣わせて、ごめん」

まるでこころの中を読まれてしまったような、その言葉にうまく返事が出来ない。

「あ、あ、あの……」

「なんか……言ってくれようとしてる?
いいんスよ、このままそばに居てくれれば、それで」

かえって涼太に気を遣わせてしまって、どうするんだろう。

「ご、ごめんなさい、私もっと……」

何も、役に立てない……。
もっと、何か……
言ってあげたいのに。

頑張って?
勝てるよ?
大丈夫だよ?

だめだ、何を言っても薄っぺらくなってしまう。

そういうんじゃなくて……
もっと、もっと。



「ね、みわ、ホントに。
支えてくれる人の存在って、何も言わなくても、今ここにこうして居てくれるだけでさ、力になるんスよ……」


緩く腰を纏っていた逞しい腕がスルリと動き、優しく後頭部に触れる。

顔と顔の距離がどんどん近くなっていく。

吐息が前髪を擽りそうな近さに、思わず呼吸を止めてしまった。

「みわ、なんで息止めてんの?」

クスクスと肩を揺らして笑うその表情は、いつもよりも力が無くて。

更に影が近づき、反射的に目を瞑った。

「……可愛い、みわ」

少し乾いた唇が、ふわりと重なる。

それは次第に、頬に当たる冷たい風も気にならないくらい、熱く深いものになっていった。


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