第67章 想い
結局その日は少ない時間ながらもボールに触れ、残りの時間はトレーニングやストレッチ、作戦会議等に費やした。
翌日からインターハイ本戦が始まり、海常は1日1回の試合を順調に勝ち上がっていく。
準々決勝では予定通りダブルエースを率いる陽泉高校と対戦し、70対69で辛勝した。
どこのチームも3年生が抜けた穴はやはり小さくない。
彼らも冬にはさらにディフェンスの完成度を上げてくるだろう。
試合が終わってからみわに聞いた事だが、どうやら誠凛は早々に敗退してしまったらしい。
木吉サンが抜けている穴は、やはり予想以上に大きいようだ。
しかし、彼もウインターカップにはまた復帰する筈。
誠凛へのリベンジマッチの可能性は、冬以降になってしまった。
そして、準決勝。
対洛山戦。
オレ達海常は…………負けた。
なんの因果か、昨年のインターハイ……対桐皇戦と同様の98対110というスコアだった。
こうして、オレ達の夏は終わった。
昨年はみわだけが決勝まで残り試合の様子を映像に残してくれたが、今年は全員で大会の行く末を見届けた。
洛山のインターハイ2連覇という結果だった。
オレ達は表彰式を見たその足で神奈川へ帰る。
それぞれ、行きとは異なる想いをこころに乗せて。