第14章 花火
黄瀬くんの肩口から、腕に触れる。
この腕が、ボールを運んでるんだ。
私の腕とは全く違う、筋張っていて太く鍛えられた腕。大きな手。
この手に、この身体に、どれだけのものがかかっているんだろう……。
まだ、同じ高校1年生なのに。
お願い。無理だけは、しないで……。
「……みわっち、そんな目で見ないで欲しいんスけど……」
「……えっ、また変な顔してた?」
「いや……みわっちが、オレのこと好きっていう、そんな顔」
「すっ……な、何、それ……」
なんでそういうことをサラッと言っちゃうかな、このひと。
恥ずかしい恥ずかしい!
上半身を洗って、足を、洗って……。
えっと……残るは…………
チラリと下半身に目をやる。
ドキドキと心臓を高鳴らせていると、黄瀬くんはこちらを見て微笑んだ。
「アリガトみわっち。泡流して、湯船はいろ?」
「え、だってまだ……」
「いいっスよ。別に奉仕させたくて一緒に風呂入ってんじゃないっスからね」
「ほ」
ほ、奉仕っていうと……生々しい……!
「わ、分かった。でもね、なんか、やっぱり私だけして貰うの、不公平な感じがしてダメなの……なんか、私でもできること……」
「……そうスか……じゃあみわっち、その泡、洗い流して?」
「う、うん」
黄瀬くんには背を向けたまま、シャワーで自分の身体の泡を洗い流す。
「……次、シャワー貸して」
シャワーヘッドを手に取ると、黄瀬くんは彼についている泡を流した。
「……?」
何を、すればいいんだろう。
私が黄瀬くんの泡も流してあげるのかと思ったけど……。
「みわっち、おいで」
右手で胸を、左手で下半身を隠して黄瀬くんに近寄ると、黄瀬くんはバスタブのふちに座って、自分の太ももを指して言った。
「ここ、座って?」
え。
ここって?
足に、座るってこと?
「え、重いよ。足に負担かかるし」
「こっちは大丈夫っスよ。みわっち軽いし」
い、いきなりなんなんだろう。
渋々座ろうとすると……
「違う違う、跨るようにして座るんスよ」
「え」
跨る?
「オレに、してくれるんでしょ?」
……そ、そんな言い方、ズルい……。
おずおずと、彼に近寄る。
「み、見ないでね……」
だって、跨るっていったら……つまり……。