第66章 和
「んあッ……! ああッ!」
みわの軽い身体が、ビクビクと上下に揺れる。
跳ね上がる髪までもが快感を訴えているようだ。
ぐじゅぐじゅと鳴る水音と、みわの切なく甘い声が混ざって鼓膜を刺激してくる。
「りょッ……りょうた、まってぇ」
強い抵抗を感じ指を止め引き抜く。
抜いた指にはとろりとした蜜が纏わりつき、みわがどれほど濡らしているのかが分かる。
「……ん? どーしたんスか……?」
みわはよろよろとしつつも布団を離れ、テーブルの側に置いてある学校指定の鞄の前まで膝立ちで移動していく。
一体何が?
今までこんな風に中断された事など、なかったんスけど……。
「涼太、これ……」
みわが鞄から出した小さな箱。
それは紛れもなくコンドームの箱で。
「へ……、どうしたんスか、これ」
「あ、あの、期待してたとかじゃなくて、あの、こういうのは、ふたりでするものなのに、涼太に任せきりなのも、あの、よくないかなって」
顔を真っ赤にして首を横に振りながら健気にそう言う姿を、可愛い以外で表現できる言葉があるだろうか。
「だから、あの、だからってわけじゃないんだけど、あの、えっと、だからその」
「みわ」
「はっ、はい」
「ありがとう。おいで」
その気持ちが素直に嬉しい。
みわも、オレとの事をちゃんと考えてくれているんだって。
みわは恥ずかしそうに一瞬躊躇ってから、オレの腕の中に戻って来た。
小さいサイズの箱を見ると、某有名メーカーの薄型のもの。
まさかみわが用意してくれているとは。
「……これ、どこで買ったんスか」
「……ネット」
ぼそぼそとそう言いながら胸の中へ顔をうずめて隠れているのがなんとも言えない。
「ちゃんとLサイズ買ってエライっスね」
「……だって、サイズ合わないと、破れちゃうって言ってたから」
意外と最中や行為後の会話まで覚えてくれているらしい。
ぐったりしてすぐに寝てしまうから、記憶なんてすっかりないものかと思っていた。
「なんでコレにしたの?」
「…………薄い方が、つけてないみたいで、気持ちいい……って書いてあったから」
「……試してみよっか」
キモチ良くしてあげるからね、みわ。