第5章 終章
「また、会えたらいいね」
「うん! その時もよろしくねっ」
「……どうせ、忘れるんじゃないの……?」
素直じゃない狐優の言葉だが、アスミはもう腹を立てなかった。
「あんたこそ忘れないでよね」
「もう、狐優ったら。そんなこと言わないでよ」
そんなことを言いながら、くすくすと笑う花音。
その笑いにアスミも思わず笑顔になる。
「じゃあ……あたし、もう行くね」
「うん! またねー!」
「……じゃあね……」
2人に背を向けて、アスミは森へと向かう。
後ろで花音が手を振っているのを感じながら、アスミは跳ねるように森の中へと駆けていった。
アスミの後姿を見ながら、花音は一言呟く。
「また会えたらいいよね」
「……そうだね……」
「それじゃ、中に入ろっか。あ、彩夏ちゃんはどこだろ?」
「……もうすぐ、遊びに来ると思うよ……」
「何して遊ぼうかな~」
「……呑気だね……」
普段の日常に戻りながら、幽霊と九尾は住まいへと戻っていった。