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人間と妖と、

第5章 終章




 ▼◇▲


夜が明けて。


「それじゃ、大変ご迷惑をおかけしました」


シャドウは、花音と狐優に対して深々と頭を下げた。
昨夜、『悪鬼』が暴れていたとは思えないほど平和な森の中。
ひよりも丁寧に頭を下げるが、柘榴はかったるそうにしている。


「また来てね!」
「……もう来なくてもいいかも……」


満面の笑みの花音と、青ざめている狐優に、アスミはいつ声をかけるのか迷っていた。
礼を言いたくとも、なかなかタイミングが掴めない。


「姫島さん」


と、シャドウがこっそりとアスミに耳打ちする。


「……何?」
「私達は先に行っていますから、言いたいこと言って下さいね」
「~~~~ッ!」


すばりと指摘され、カァっと頬が赤くなる。
シャドウが「頑張って下さい」と言って、柘榴達と森の中に入っていってしまった。


「あ、あの……」
「どうかした?」
「その……昨日は、ありがとう。本当に、ありがとう」


絞り出すように言った感謝の言葉に、花音と狐優が顔を見合わせる。
だが、花音の方はすぐに笑顔になり、アスミに「私もありがとう!」と言った。


「ほら、狐優も、何か言ったら?」
「……う……。……元気でね」


ぼそりと呟かれた言葉に、アスミはどう反応すればいいかわからない。それでも、胸の中はすっきりとしていた。


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