第4章 人と人ならざるもの、弐
柘榴は舌打ちをすると、一歩前に進む。
「こいつらは任せろ。俺がまとめて始末する。隙を見て封印しろ」
赤い光に照らされて、柘榴の殺気が膨れ上がる。
シャドウはその姿に目を丸くしたが、にこりと微笑んだ。
「了解しました。頼みましたよ」
シャドウは空中へと浮かびあがる。封印のために、魔力を全身をためようとした時、ふと思いついて下の柘榴に声をかけた。
「あぁ、柘榴さん」
「あ?」
「さっきのセリフ、かっこよかったですよ。見直しました」
「うるせぇよ。ひよりじゃない奴に言われたって嬉しくないわ」
シャドウは面白そうに肩を揺らして笑うと、普段の倍以上の魔力を体に集中させた。
――さて、あとは頼みますよ。
柘榴が地面を蹴ったと同時に、シャドウから魔力がほとばしった。
▼◇▲
「ない……ない……っ」
花音は裏庭を必死に探しまわっていた。
あの青いブレスレッドは、いくら探しても見つからない。
焦りと恐怖に押しつぶされそうになりながら、花音は必死に探し続ける。
すると、視界の隅にほのかな青い光が見えた。
「あった!」
喜びに溢れ、ブレスレッドへと手を伸ばす。
だが、それに触れることがなく、むなしく通り抜けるだけだ。そこで、自分が幽霊だったことを思い出す。
「うそ……そんな……っ!」
あまりのことに、泣き出しそうになる。
焦りで、ひよりや狐優に助けを求める、という選択肢が消え去ってしまっていた。
「早くしないと……っ」
何度も挑戦するが、まったく触れることができない。
一気に絶望の底へと叩きつけられる。
――でも。
――あきらめちゃだめだ……!
花音は焦りを抑え、腕へと意識を集中させる。