第4章 人と人ならざるもの、弐
「花音さんですね。よかった、人外の方で」
「え……?」
「もし間違いでしたら申し訳ない。――あなたは、生前は人間でしたよね? つまり、今は幽霊……」
「は!?」
真っ先に反応したのはアスミだった。
衝撃的な顔で、シャドウの横顔を見る。
驚いたのはアスミだけではなく、花音も同じだったらしく、「えーっと……」と困ったような顔になっている。
――ちょ、幽霊って……。
――確かに吸血鬼とか妖怪とかいる時点で、幽霊がいてもおかしくないかもしれないけど……。
――え、でも……。
混乱するアスミだが、花音の方は少しだけ戸惑っただけだった。すぐに笑顔になると、ふわりと宙に浮く。
「えっと、そうです。……もしかして、霊感がある人ですか?」
「霊感というか魔力ならあります」
「?」
きょとんとした笑顔で首をかしげる花音。
「えーっと……とりあえず、上がって下さい」
花音がふわふわと奥の部屋へと行くと、シャドウは振り返って、後ろで話しあっていた柘榴とひよりに声をかけた。
「許可が出ましたよ。さ、入って下さい」
「ちっ……やっとかよ……」
「ご迷惑にならないでしょうか……?」
見事なまでに反応が対照的な2人。
シャドウはにこにこ笑顔で「大丈夫ですよ」と言った。