第3章 人と人ならざるもの
アスミはいざという時のために、全身の神経を張り詰めていると、視線が四方から突き刺さってくるのに気付く。
「……? ――シャドウ!」
振り返って周りの状況を見た瞬間、シャドウの腕を強く掴むアスミ。
いつの間にか、周りをアスミが目にした事のないような魑魅魍魎達が取り囲んでいた。少なくとも30体はいるだろう。
「まったく……派手な出迎えですねぇ……」
僅かに目を丸くしているが、どこか面白がっている言葉だ。
「派手とかそういうレベルじゃないよ!? ちょ、何、どうすんのよ……!」
「大丈夫ですよ」
「何が大丈夫なの!?」
まさに絶体絶命の状況の中、シャドウはとても余裕そうだ。そんな彼に、別の意味で恐怖と疑問を持ちながら、アスミは手を握り締める。
「!」
アスミの視界の隅で、妖怪のうち一体が動いたのがわかった。
人間を超えたスピードと激しい殺意に、アスミの能力が本能的に発動される。
アスミの片足から伸びた氷が、攻撃してきた妖怪を絡め取り、相手の全身を凍りつかせる。
横にいるシャドウが「あらら……」と困ったように笑っている。
――しまった……つい……。
一瞬だけ後悔するも、遅い。
刹那、数十体の妖怪たちが2人へと襲いかかってきた。