第3章 人と人ならざるもの
「――ッ!?」
急激な眩しさに、シャドウの手を離し顔を覆ってしまう。
だが、シャドウのほうは安心したようにくすり、と笑いをこぼす。
「あぁ、無事につきましたね。久しぶりに極夜の国に行くから、道が合っているか不安だったんですよ。行けて安心しました」
まったく安心できないことを言いながら、シャドウはアスミの肩に優しく手を置く。
「ほら、大丈夫ですよ」
ふくよかな温かい言葉を聞いて、アスミは恐る恐る手を顔からどける。
すると、先ほどの強い光はなくなっており、いつの間にか豪奢な屋敷の前に立っていた。
広大な庭と、見る者が怖気づくほど大きな門の奥に、一軒の屋敷が建っている。見た目はとてもしっかりとしているが、どこか不気味さを感じる建物だ。
「さてと……行きましょうか。――お邪魔しますね」
そう言って門を手で押すシャドウ。僅かな隙間が開き、するりと中へ入るシャドウの後をアスミも追う。
芝生のようなものを踏みしめながら、アスミは辺りをきょろきょろと見回す。
――こんなに大きな屋敷なのに、人が見当たらない……。
――人っていうか、妖怪?
――……にしても、門から屋敷まで距離が凄いある……。
現実感のない距離に少しばかり呆れていると、横側から強い気配を感じた。吐き気を催すような、嫌な気配。
「ッ!?」
先に動いたのはシャドウだった。
アスミを素早く後ろに隠すように守り、厳しい目で気配がする方を見つめる。