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夢幻花と夕暮れ

第1章 出会いは突然に…?


この男が、何を考えているのかが分からない。
一晩が過ぎればさよならだと思っていたフェリアは、レイシスに疑念を抱きつつも、こうして今彼と歩いていた。

「今回の依頼は、カミラ洞窟の奥にある鉄鉱石を採ってくることです。
ですが洞窟には魔物もいるので、注意して下さいね。」

思えば依頼など長いこと受けていない。
集落を飛び出して来た頃は貧乏だったのでよく受けていたが、最近では決闘でかなり稼いでいるため金には困っていないのだ。
そんなことで、久しぶりにレイシスと共に依頼を受けてみることにしたのである。

カミラ洞窟は、セルゲリアの北東に位置している。
洞窟を抜ければ向こう側にはクームズ城下町があり、今回の依頼人はそこにいるらしい。

「フェリアは、ここへ来たことはありますか?」
「ああ。私は極北地域の生まれだからな。
ここを通らないと、開けた場所にも出れないだろう?」
「なら、安心ですね。
まあ、何かあれば俺が守りますから大丈夫ですよ。」

少し前を歩くレイシスが、振り返ってニコリと笑った。

「…大きなお世話だ。
ここいらの雑魚くらい、何てことない。」

フェリアが唇を尖らせながら言う。
今まで誰かを守ることはあっても、守ってやるなんて言われたことは無かった。

―こいつ…変な奴だけど、面白いな。

前を歩くレイシスの背中を見つめながら、フェリアは久しぶりの魔物との戦いに心躍らせていたのだった。
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