第22章 水族館
しずくside
今日は菅原と一緒に水族館。
土曜日に部活が休みだなんて珍しい。
そんな貴重な休みを私のために使ってくれるのがたまらなく嬉しかった。
今日のために新しい服を買ってしまった。
派手すぎず地味すぎない白のワンピース。
いつもよりもちょっとだけ気合の入ったお化粧。
忘れ物がないかもなんども確認した。
待ち合わせ場所にまだ菅原の姿はない。
早く会いたくて待ち合わせ1時間前についてしまった。
待つのは大嫌いだった。
自分の時間がジリジリと削られている気がしてイライラしてばかりだった。
人を待つ時間をこんなに楽しいと感じたのは菅原が初めてな気がする。
「 しずく!ごめん!もしかして待たせた?」
菅原が息慌てて私に駆け寄る。
「大丈夫。私が早く着きすぎたの。」
「...もしかして、楽しみすぎて待ちきれなかったとか?」
菅原がニヤリと笑った。
「別に。時間間違えちゃっただけだから。行かないの?置いてくよ?」
本当のことを言い当てられて顔が熱くなった。
照れてる顔を見られるのが嫌でつい可愛くない反応をしてしまう。
「あ、待てって!」
菅原が私の隣を歩く。
「...あと、その服、似合ってる。かわいい」
「!!....ゆうちゃんにも言われたから、知ってる。」
あぁ、やだ。可愛くない。
もっと素直に喜びたいのに。
顔、赤いの見られたくないな。恥ずかしい。
「...友達に言われるより、彼氏に言われる方が嬉しいべ?...ほら、やっぱ顔真っ赤〜。」
菅原は私の正面に回り込んだ。
私の頬に菅原の手が添えられる。
「ちょ、ちょっと。ただでさえ、暑いんだから、やめてよ。早く、水族館行こ。」
「はいはい。じゃ、しゅっぱーつ!」
そう言って菅原は私の手を握って歩き出す。
菅原の頬も赤くなってるのもわかる。
「ちょっと..2人揃って顔真っ赤とか、カッコ悪いんだけど」
「いいからいいから。みんな俺らのことなんか見てないって。」