第21章 ヤキモチ
しずくside
朝、教室に入り自分の席に座る。
あれから一週間。私は毎日学校に来ている。
クラスで私に話しかける人なんか滅多にいない。
田中。それから、あの一件から時々声をかけてくれる白井さん。
ぼーっと窓の外を眺めていた。
ムギュー_____
「な、なに?」
突然、後ろからお団子にしていた髪の毛を掴まれる。
「 桜山。教室入ってきたんだから挨拶くらいしろよなー。」
田中だった。
「...ちよっと。髪、崩れるんだけど..。挨拶して欲しかったら、手離してよね。」
「おう。」
そう言って田中は私の髪から手を離した。
「...おはよう」
「おう!今日は部活見に来るのか?スガさん、今日は来るか今日は来るかって楽しみにしてんぞ。」
「そうなんだ。....気が向いたら行く。」
気が向いたら....か。
菅原が私を待ってるって聞くと、嬉しい。
午後からの部活、私はきっと見に行くんだろうなぁ。
「気が向いたらってな...。」
そんな話をしながら田中は自分の席に戻っていった。
「...おい、田中。お前いつの間に 桜山さんと仲良くなったんだよ。」
「はぁ?仲良いか?」
「あの 桜山があんな、お団子ワシャってされて気にしないとかありえねーだろ。」
「絶対、そーだって。俺ら、まともに話したことすらないし。」
「...なら、話しかけてみればいいだろ?俺も最初絡みづらいやつだと思ってたけど、案外面白いやつだぜ!」
.........聞こえてるし。
田中。煩くて、バカで、暑苦しいやつ。
最初はそんな印象しかもっていなかった。
でも、実際は面倒見が良くて、気さくで、面白いやつ。
田中の周りに人がいるのも納得できる。
他のバレー部の2年もそうだ。
クラスが違ったから話したことも、関わったこともなかった。
西谷、縁下、木下、成田。
最近は、廊下なんかでよく声をかけてくれるようになった。