第5章 溶解
菅原side
桜山、結局朝練見に来てくれなかったなー。
朝練後、そんなことを思いながら教室に向かった。
そして、授業が終わり、放課後。
いつも通り部室に行き、ジャージに着替え、体育館へ向かう。
練習の始まる15分前。
「菅原くん!」
突然、先生に呼ばれる。
「2年生の女の子が呼んでるよ。」
2年生の女の子?
.....もしかして!体育館の入り口を見ると 桜山が立っていた。
「 桜山ー!そんなとこ立ってないで入って来いよー。部活見にきたんだろ?」
俺がそう言うと、 桜山は体育館の中へ入ってきた。
「....これ。」
そう言って 桜山が俺にペットボトルを差し出す。
「.................緑.....茶?」
緑茶?え、なんだろこれ、もしかして、差し入れとか?....でも、なんで緑茶?
「....スポーツマンだから、炭酸のジュースとかあんまよくないと思って.....スポドリも考えた、けど...いつも部活で飲んでるでしょ....?だから、お茶。...わたし、緑茶嫌いだから、いらないなら誰かにあげるなり、捨てるなりして。.....別に深い意味はないから。ただ、あんたに...ピアス拾ってくれたお礼、....ちゃんとしてなかったから。」
そう言ってペットボトルを俺のほうに投げる。
「ありがとな!...ついでにもう一つお礼だと思ってさ、桜山のこと、下の名前で呼んでいい?」
桜山 しずく。
しずく。
「.....なんだ、そんなこと。勝手にすれば。」
!
絶対に断られると思ったのに。
気安く下の名前で呼ばないでくれる?みたいな感じで。
「あと。...俺のこと、あんたとかじゃなくてさ、名前で呼んでよ。苗字でも名前でも好きな方でいいからさ。結構話すようになったのに今だにあんた呼びとか軽く傷つくし。」
「気が向いたらね。」