第13章 薔薇園でのひととき
『私、そろそろ、控え室に戻らなきゃ!
もう少ししたら、係の子が呼びに来ると
思うから。大輝くんも、ホール会場に戻った方がいいよ~。』
青峰「おぉ。そうだな。俺も、戻るぜ。
さつきも、キーキーうるせぇし。」
『はは。さつきちゃんに、心配かけちゃダメだよ~。演奏が始まる前に戻るの、お薦めするよ。悪目立ちしちゃうから。
寝ないで、頑張って聴いてよ?ね!』
青峰「おう!ってか、頑張るのは優希の
方じゃねーか!
まぁ、頑張れ!ん。」
大輝くんが、拳を突き出してきたので、
私も拳をつくり彼の拳に、コツンと当ててみた。
すると、彼は、白い歯を見せて、ニカっと
笑う。
『ありがと。私、頑張る!』
私も、大輝くんに笑い返した。
『じゃあ。また、舞踏会で会おうね~。』
青峰「うまいもん、いっぱい食おうな~!」
『大輝くんは、花より団子タイプだね。』
青峰「何か、いったかー?」
『う、ううん。あ!美味しい料理楽しみだね~!って、言っただけだよー!』
青峰「絶対にちげぇーだろ。まぁいいや。
旨いもん食って、腹いっぱいなったら、
元気でんだろ。」
『え?』
青峰「なんか、お前が。赤い薔薇みてた時にさ、元気なさそーに見えたからよ。
気のせいだったら、ワリィ。
ほら、もう行けよ。遅れるぞ。」
『うん。行ってくる!
大輝くん。ありがとう。』
しばらく優希を、見送っていると、
遠くの方で、こちらに振り返り、
手を振ってくる姿がみえた。
照れくさい、気持ちもあるが。
俺も、手をあげ軽く手を振ってやる。
ハァ。俺も、戻るとするか。
ここにいても、仕方ねぇし。
そして俺も、薔薇園を後にした。