第13章 薔薇園でのひととき
~青峰 said~
クラッシック音楽ってやつは、
俺にはやっぱ合わないらしい。
俺は、気分転換するためホテルの中を探検
していた。
庭らしきところを見つけたので、何となく
足を運んでみる。
そこには、赤い薔薇の花を見つめている優希がいた。
(あれ。優希じゃねぇか。
まだ、俺に気づいてねぇな。イタズラ心に
火がついた俺は・・・。)
優希にそっと、後ろから近づいて、
耳元に息を吹きかけてやった。
『うわぁ!』
と、声をあげて、優希は身体をビクッと
させた。
青峰「大成功だなっ!ハハっ。」
『大輝くん!?びっくり、したぁ~。
寿命縮んだよ。きっと?』
青峰「悪ぃな。ちょっとしたイタズラ心
だから。許せ。」
『もぉ。仕方ないなぁ。今回だけ許す。』
青峰「そりゃどうも。」
『今って、休憩タイム?』
青峰「うん、そうだぜ。外の空気、吸いたくなってよ。」
『そっか。クラッシックは、眠くなる?』
青峰「まぁな。だけど、優希のピアノは、ちゃんと聴いてたぞ。音楽のことは、よくわかんねぇけど、良かったって思う。 ぶっつけ本番だったのに、よく頑張ったな。 」
俺は、優希の頭を撫でてやった。
優希のやつは、くすぐったそうに
笑っている。
『ありがと。大輝くん。』
青峰「優希。薔薇の花、好きなのか?」
『うん。好き。この赤い薔薇、
綺麗だよねっ。』
青峰「そ、そうか。」
(おれ、何、『好き』って、言葉に反応
してんだよ。)
『そういえば、ダンスは踊れる
ようになった?』
青峰「まぁ、うん。なんとかなったぜ。」
『そっか。なら、良かったけど。
さつきちゃんが、大ちゃんが練習してくれない!って。膨れてたから。
気になってたんだよね。』
青峰「優希のパートナーは、
黄瀬なんだろ?大丈夫なのか?」
『うん。あはは。
女の子から、恨まれちゃうかな。』
青峰「女の嫉妬は、怖いんだぞ。
まぁ。何かあったら、言え。
俺が、追っ払ってやるからさ。」
『ありがとね。心配してくれて。
何もないことを祈ってる。』