第12章 音楽祭の始まり
~音楽祭 開演 黄瀬said~
優雅で綺麗なメロディーが、会場に流れる。
優希っちが、演奏しているのは、
ショパンの名曲。
《ノクターン 第2番 Op 9ー2》
彼女が奏でるひとつひとつの音色。
キラキラしていて耳に心地良い。
黄瀬母「優希ちゃんのノクターン、素敵だっ
たわ~♪また聴きたい。」
黄瀬「なんか、わかんないけど
満たされた感じがするっスよ。」
優しい旋律が、切なくもあり。
でも、どこか胸を熱くさせる。
そんなピアノ演奏だった。
黄瀬母「そうね。言葉では、言い表せないけど。私は、感動したわ!
涼太、ノクターンって表現が難しい曲なのよ。」
黄瀬「そうなんスか?」
黄瀬母「うん。演奏者の個性が出る作品だから、同じ曲を弾いても受ける印象は違ってくると思うわ~。」
黄瀬「優希っちの、演奏は。
会場の皆の心をバッチリ掴んだはず。」
黄瀬母「充分すぎるくらい。代理演奏の
役目を果たせてるわよ。
バイオリンの演奏も、期待しちゃうわ♪」
黄瀬「楽しみっスね。
優希っち。赤いドレス似合ってたスよね!」
彼女のドレスは、赤いオーガンジーの
Aラインドレス。ティアードスカートが可愛らしい。
また、胸元や腰あたりに、赤と黒バラのモチーフのラメ入りコサージュがついていて、かっこよくもある。
黄瀬母「うん。とっても、よく似合ってる。
優希ちゃん、すっごい美人。お人形さんみたい。涼太、あんた面食いだったのね。」
黄瀬「外見だけで、好きになったワケじゃないスよ!性格だって、可愛らしい子スよ。
話してみれば、わかるよ!」
黄瀬母「はいはい。わかってるわよ。
涼太が、私に紹介したいというくらいだもの。素敵な子なんでしょ?」
黄瀬「もちろん!母さんだって、きっと気に入ると思うっスよ。」