第12章 音楽祭の始まり
~音楽祭ホール会場~
一曲目の演奏者が変更になったという
アナウンスが会場に流れる。
急な代理演奏に、会場内がざわついている。
黄瀬「え?優希っちがピアノ演奏?」
隣に、座ってる母さんも優希っちの名前に
反応してくる。
黄母「あら。優希ちゃんて、もしかして?」
黄瀬「うん。優希っちが代理演奏するみたい
っスね。急なことみたいだけど、大丈夫かなぁ。」
黄母「そうよね。しかも一曲目の代理演奏なんて、プレッシャーに負けてないといいけど。心配よねぇ。優希ちゃん、ピアノもひけるのね~。」
黄瀬「うわぁ。ダメだ~。
何か、こっちが緊張してきたっスよ。」
黄母「見守ることしか出来ないのが、もどかしいわね。」
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桃井「嘘でしょ!?こんな急に?優希ちゃんが、一曲目の代理でピアノ演奏だって~。
雪菜先輩に、何があったのよ~。」
興奮気味なのか、バシバシ肩を叩いてくる。
青峰「さつき、痛ぇよ。少し落ち着けよ。
せっかくのドレスが台無しだぜ。」
桃井「そうだけど。大ちゃんは、優希ちゃん
心配になんないの?」
青峰「そんなことねぇけど。俺なりに、
気にしてるって。だけど、優希だぜ?
あいつのことだ、どんな困難も自分の力で
乗り越えるんじゃねぇの?あいつの度胸は、並大抵じゃねぇと思うぞ。」
桃井「そうだね。優希ちゃんだもんね。
ピアノも、すっごい弾けちゃうのカモしんないし。あぁ。今度は、楽しみになってきた。」
青峰「楽しみか。そうだな。」
クラッシック音楽は、眠くなるだけで。
あんまり興味なかったけど。
優希の演奏は、聴いてみたいかもしれねぇ。
桃井「大ちゃんのこと。
ほ~んのちょっと見直した。」
青峰「は?何だよ急に。」
桃井「大ちゃんも、ちゃんと人の事みてる
んだなぁって。感心、感心。」
青峰「さつき。
俺の事、バカにしてんのかよ。」
桃井「ねぇ。
優希ちゃんの事、好きでしょ?」
青峰「はぁ。な、なに言い出すんだよ。」
桃井「照れなくっていいのに~。」
青峰「誰がだよ。照れてねぇからな。」
桃井「はい、はい。」
(耳を赤く染めて、睨まれたって。
ちっとも説得力ないのに。)
~アナウンス~
まもなく開演いたします。