第12章 音楽祭の始まり
ピンポンパーン。
~アナウンス~
「皆様に、お知らせいたします。
一曲目は、我が校の生徒会長である千石雪菜がピアノ演奏する予定でしたが、諸事情のため変更となります。演奏は、一学年の姫野優希がいたします。何卒、ご了承ください。」
悩みながらも、優希は、私の無茶なお願いを
引き受けてくれた。
雪菜「なぁ。征十郎。優希は、すごく魅力的な人間だよ。外見だけじゃない。中身も。
私は、彼女の言葉に感動したぞ。いや、彼女に惚れたかもしれない。人として。」
優希はこう言ってくれたんだ。
『雪菜先輩、楽譜を貸してください。
私、ピアノ演奏します。
雪菜先輩。今日の音楽祭や舞踏会を、私自身とても楽しみにしているんです。だから、同じように楽しみにしてくれてる人達のためにも、音楽祭を心に残る素敵なものにしたいです。
今日、来て良かったって思って貰いたい。
だから、私、精一杯やり遂げます!』
彼女は、そういい楽しそうに笑ってくれた。
私は、彼女の気持ちが嬉しくて、思わず
涙ぐみそうになった。
そんな風に、思ってくれてるなんて。
泣けるじゃないか。
赤司「雪菜先輩、目が赤いですよ?
だけど、その気持ちわかります。
優希は、昔から自然と人の気持ちを軽くする様な言葉を言ったりするんですよ。
不思議ですよね?
俺も彼女の魅力に惹かれた一人ですから。」
雪菜「あはは、嬉しくて。ついな。
ますます、生徒会やバスケ部マネジャーに欲しい人材だよ。重大な責任を押しつけられたこんな場面で、あんな風に笑えるヤツはいないよ。プレッシャーに押しつぶされたって、おかしくないのに。度胸あるな。」
赤司「こんな土壇場で、引き受けた彼女の
心意気には、俺も驚いてます。
だけど、雪菜先輩も、彼女なら引き受けて
くれると、信じていたでしょう?」
雪菜「まぁ。これでも、人をみる目は、あるつもりだからね。何より征十郎が惚れてる女だから間違いないさ。」
赤司「そうですね。」
雪菜「少しは否定しろよ。征十郎。」
赤司「雪菜先輩、俺をからかうおつもりで?
無駄ですよ。惚れてるのは事実ですし否定
なんてしません。
あ。そろそろ、時間です。
優希を呼びに行きましょう。」
雪菜「わかったよ。迎えに行こう。」