第11章 おねがい☆
音楽祭までの日々は、あっと言う間に過ぎ
ていった。
音楽祭まで、あと2日。
公園で最後のダンス練習を、涼くんとしている。
涼くんは、最初に宣言した通り。
ワルツステップを、覚えるのが早かった。
『涼くん。絶対にダンスセンスあるよ。
既に私をリードしながら踊れるようになってるもん。』
黄瀬「そうっスかぁ?誉められと嬉しいッスね~。」
『自信もっていいよ!
一緒に踊っていても、すごく安心できるし。
何より、涼くんと踊るのとっても楽しい!』
(ただ、結構、密着して踊るから。心臓の
ドキドキがとまらない。涼くんも、同じようにドキドキしてるのかなぁ。)
黄瀬「ありがとッス♪俺も、優希っちと
踊るの楽しいっスよ~。」
ポツリ。 ポツリ。 ポツリ。
黄瀬「雨、結構降ってきたっスね。
あっちで、雨宿りしないっスか?」
『うん。そうしよっか。』
黄瀬「優希っち。
音楽祭には、家族の人来るんスか?」
『う~ん。招待券は、イギリスに送ったけどね。都合つくかな~?理桜は、来れそうな感じだったけど。おじいちゃんは、わかんない。忙しい人だからなぁ。」
黄瀬「じゃあ。理桜くんには、会えるかも
しれないんスね~。」
『そうだね。もし、音楽祭に来れたら、
涼くんに紹介するね。先に言っておくけど、
あんまり可愛げはないからね?』
黄瀬「ははっ。どんな子なのか楽しみにしてるっス。」
『涼くんのとこは?誰か来るの?』
黄瀬「俺ん家は、母さんかな?父さんは、仕事で来れないって。二人とも、普段は仕事で
家にいないことが多いから。
母さんが来れるってだけでも、奇跡的。」
『涼くんのお母さんは、どんな人?優しい?』
黄瀬「母さんっスか?う~ん。
優しいとは、思う。怒ると怖いっスけどね。仕事は、ファッションデザイナーなんすよ。だから、海外によく行ってるスよ。」
『わぁ。素敵だね。だから、涼くんも
おしゃれさんなのかな☆』
黄瀬「確かに、母さんの影響は大きいかも
しれないっスよ。周りが言うには、俺は
母さん似らしいから。」
『お母さんも美人なんだろうなぁ。』
黄瀬『優希っち。
母さんに、紹介してもいい?嫌?』
『嫌じゃないけど。なんか、緊張するよ。』
黄瀬「普段どおりで平気っスよ。それに、
合わせたい子がいるんだって、もう伝えちゃったスもんね!」