第6章 初恋の人は○○
今は、さつきちゃんと一緒に裏庭でご飯を食べている。
桃井「ねぇ、優希ちゃん。初恋っていつ?」
私は、お茶をちょうど、口に含んだ直後
だったので、吹き出しそうになる。
『えっ!?何でまた急にそんな話を?』
桃井「う~ん。理由はないんだけどね~。
優希ちゃんと恋バナしてみたかったの♪それで、いつ?」
『私は、小学校4年生の時かな。』
桃井「仲が良かった、男の子なの?」
『ううん。えっと、イギリスに行く前日に、偶然出会った男の子なんだけどね。』
桃井「ねぇ、その話詳しく聞きたいなぁ☆」
『うん。私は、構わないけど。
長い話になると思うけど、大丈夫かな?』
桃井「全然、問題ないよ~。その彼とは、どこで出会ったの?」
『家の近くにある公園で、出会ったの。
両親が亡くなった事や、仲の良い友達と離れてしまう事が、悲しくて。
公園にある大きな木の下で、隠れて泣いてたら、ある男の子がやってきて、「どうして一人で泣いてるの?大丈夫?」って、声をかけてくれたのが、出会いの、きっかけかな。
泣きながら、私が事情を話すのを、隣りに
座って聞いてくれてね。
そして、その男の子は、私に、こう言ってくれたの。
お父さんや、お母さんは、
空で輝くお星さまになったんだよ。って。
だから、私のことは、いつも見守ってくれているから、泣かないでって。
お父さんやお母さんだって、私の泣き顔
じゃなくて、笑顔が見たいと思うよ。
と、優しい笑顔を浮かべて、慰めてくれたんだよね。
私は、彼の言葉に救われたんだぁ。
単純かもしれないけど、その言葉で、悲しい気持ちで、いっぱいだった心に、一筋の光がさしたような感じがしたんだ。
その後、彼とは、日が暮れるまで、
色々とお話したんだよね。
数日、私は、泣く事しかしてなかったのに。
いつの間にか、彼と笑いながら、話している自分がいた。
それに彼が、笑うとお日様みたいにキラキラしてて、温かい気持ちになれた。
笑顔の似合う、優しい男の子が、
私の初恋なんだ♪』
桃井「ホントに素敵な男の子だね!!
その子とは、一度しか会ってないの?」
私は、カバンの中から、小説を取り出して、
それに挟んでいた一枚の栞を、
さつきちゃんに見せた。