第5章 ライバル出現!?
黄瀬said
俺は、今、女の子に囲まれて、楽しそうに会話している。
だけど、本当は、何も感じてない。
笑顔という仮面をかぶり演じているに過ぎない。
俺に近づいてくる女の子は、俺の外見だけしか見ていない。
“モデル 黄瀬涼太っていうブランド”
どうしてかって?
告白されて、付き合い始める。
だけど、少しも長続きしない。
しばらくすると、決まって言われる言葉。
“何か涼太くんて、思ってたのと全然違う。”
俺にしてみれば、想像してたのと違うから?
何?それが、どうしたっていうのか。
俺自身のこと、何も知らないくせに。
モデルをしていても、私生活まで華やかなわけじゃない。
仕事モードの時は、少しでも大人っぽく思われたくて、等身大の自分は見せないよう、振る舞っているだけ。
だけど、等身大の黄瀬涼太は、12歳の少年でしかない。
同い年の子と、そう変わらない。
なのに、勝手に俺のイメージを決めつけて。
イメージと違うからって何で、幻滅されなければいけない?
俺の外見だけでなく、内面を見てくれる女の子はいるんだろうか?
優希っちは、俺の周りにいる子達と、何か違う気がする。特別な何かを感じている。
優希っちとの、会話はすごく楽しかった。
いつもの、作り笑いなんかじゃない。
彼女といると、自然と笑顔になっていた。
彼女はきっと、外見だけで人を判断する人間ではない。
等身大の黄瀬涼太を見てくれる存在。
これは、期待じゃなくて確信に近い。
俺から、友達になって欲しいなんて、女の子に伝えたのは、初めてかもしれない。
もっと、色々と優希っちの事が知りたくて
たまらない。
また、逆に自分の事も知って欲しい。
ついつい、目が優希っちを追いかけてしまう。
今、俺が一番気になる女の子。