第5章 ライバル出現!?
『おはよう。』
?「おはよ。キミ、転校生っスよね?」
自分の後ろの席にいる女の子は、
腰くらいまである艶やかな長い黒髪。深緑の大きな目が印象的な女の子。
俺の所属しているモデル事務所にも、綺麗な子や可愛い子はいるが、それでも彼女は見劣りしないだろう。
そう思うほど、目の前の彼女は綺麗だった。
『はい、そうです。昨日、転校してきました。姫野優希です。宜しくね。お名前、聞いてもいい?』
?「え?黄瀬涼太っス。俺のこと知らないんスか?」
目の前の女の子は、キョトンとしている。
『うーん。たぶん黄瀬君とは初対面だと思うんだけど、違うのかな?』
と、首をかしげて不思議そうにしている。
黄瀬「あ、いや。会ったことはないんスけど、俺これでも、人気モデルなんスよ。知らない人がいるなんて、ちょっと驚きっス。」
内心、俺もモデルとして、まだまだなのかと、へこみそうになった。
『あ、私、イギリスに住んでいたから、日本の事情にすごく疎いんです。だから、えっと、気にしないでね?』
俺は、衝撃を受けていた。
モデルの、黄瀬涼太を知らない女の子。
自分の外見をみても、媚びを売ろうとしない、女の子。
今までに、出会ったことのないタイプだ。
彼女のことを、もっと知りたくなった。
黄瀬「ありがとっス。イギリスにいたんスか!?」
『うん。イギリスから、3年ぶりに日本へ帰ってきたんだ。中学からは、絶対に日本で生活したいって思ってたから。おじぃちゃん達に、我がまま言って一人、日本に戻ったの。』
俺は、「おじぃちゃん達」という、言葉が気になり聞いてみると。
両親が亡くなっている事や、家族3人のことを教えてくれた。
隣りで、微笑んでいる彼女は、どんな風に悲しい出来事を乗り越えてきたんだろうか。
純粋に、すごいと思った。
自分が同じ立場だったなら、そんな強くいられただろうか。
黄瀬「優希っち!俺と友達になるっス!」
『もちろん。こちらこそ、仲良くしてくれると嬉しいです。あ、なぜ優希っち?』
黄瀬「俺、尊敬する人には、~っちをつけて、呼ぶことにしてるんっス。」
『そうなんだぁ。けど、私、黄瀬君に尊敬されるような事したかな~?』
黄瀬「気にしなくていいんス。俺が優希っちて、呼びたいから。それに、俺のこと涼太って、呼んで欲しいっス!」