第2章 純粋だから狙われるのです(ヴァンパイア組)
「だって、面白かったし」
「面白ければ貴女はずっと傍観するのかよ」
ふわふわーと飛びながら(正確にはリリスがだが)、あたしらは空中でお喋りをしていた。
で、ようやく降ろして貰えたと思ったら、二人に挟まれて座る事になった。
「デミトリも、アレで結構本気なのよ?勿論私もだけど」
「アレでガチとか、マジ夢であるようにだな」
リリスも名前好きーという声も聞こえたが、まぁリリスは別として、あたしは心読まなくても分かってんだぜ?
「モリガン、ちゃんと分かってるぜ。いくらお前が冗談が好きだろうと、本当は真面目な奴だもんな、お前は。サキュバスよりもヴァンパイアの血が濃ゆいから、全然そんな気はないもんな?」
リリスははてなを沢山浮かべていたが、モリガンは待ってましたと言わんばかりにあたしの頬を撫でてきた。
「確かに私はヴァンパイアの血が濃ゆいけど……貴方のような子を見てると、サキュバスの血も疼くのよねぇ……」
心臓が跳ねたと同時に、全身から冷や汗が出てきた。
心を読むべきだったかもだけど、今読んだら後で後悔しそうな気もした。
「純粋な子って、私たちから見たらとても美味しそうなの」
そんな情報、攻略本漁っても一切なかったぞー!!
モリガンの紅い舌がチラついている。
瞬間移動で逃げれたはずなのに、今のあたしにはそんな選択肢が浮かばない程、頭が真っ白だった。