第4章 15cmー月島蛍の場合ー
「パスポート持ちましたか?」
『うん』
「ほかに忘れ物は?」
『大丈…あ』
チュッ
「……」
『忘れてた』
触れるだけの優しいキス
『蛍くん、行ってきます』
そう言ったxxxは笑っていた
「…行ってらっしゃい、xxx」
ーバタンッ
「はぁ…この部屋ってこんなに
広かったんだっけ」
いつも彼女が居たこの部屋は
狭く感じていた
彼女が帰ったら引越しでもしようかな
「あ、またマグカップ置きっぱなし…」
これは彼女の癖だった
朝ご飯を食べたあと机の上に
コーヒーの入っていたマグカップ置きっぱなしにする
僕はそのマグカップに口をつけた
「間接キス…なんてね」
離れて10分もたってないのに
もうこんなに抱きしめてキスをしたいなんて…
「早く帰っておいで
その時はうんと甘やかせてあげるから」