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ひらりと舞うが木ノ葉

第1章 私の生活


キーンコーンカーンコーン・・・


体育館での灼熱地獄の終業式を終え、戻ってきた教室はいつも以上に冷房がきいている気がする。チャイムと同時に担任の先生の話も終わり、待ちに待った夏休みの始まり。


「まみ、ちゃんと連絡してね。」

「分かってるって。帰って来たら必ず連絡する。」

「うん、絶対だよ?」

「はいはい(笑)。」


じゃあ里帰り楽しんでねー!と駅で手を振って別れたのは、高校の友達で1番仲良しの葵(あおい)。
彼女の言う里帰り、これは実は嘘で。本当のことを話す訳にはいかず苦し紛れについた嘘がこれ。因みに私は少し離れた両親の祖父母宅に遊びに行くと言ったはずだが、何故だか彼女の中では帰省になってしまっているよう。私は上京してる訳でも何でもなく、確実に実家から通っている。


「夏休み早々から大変ねぇ。」


帰宅早々に明日の支度を始める。他言無用である為、家族にすら本当のことを話せないのは心苦しいが仕方ない。家族には部活の合宿だと嘘をついた。

すぐに支度を済ませ、残りの時間は家族とのんびり過ごした。


「じゃあ、行ってきます。」


翌日。そう言って私は、見送る母に手を振って玄関を出る。外階段を下るフリをして玄関のドアが閉まるのを待つ。ガチャッと鍵が閉まるのと同時に、私は周囲に誰もいないことをしっかりと確認して両手を合わせて指で形を作る。そう、印を組む。

一瞬にして視界が変わる。今立っている場所は、何と先程出たばかりの自宅。でも自宅にいるはずの家族にバレれることはない。皆がリビングにいることはしっかり把握済みであり、私がいるのは自室のクローゼット前。きちんとマットを敷いてあるので土足でも問題ないことをここで説明しておこう。

しゃがんで左奥にひっそりと見える書物・・・巻物に掌で触れる。そうしてようやく・・・私は目的地である“ここ”に来ることが出来る。


「よう。」


目の前に立つ人物にゆっくりと視線を向ける。私がここに来る度に、いつもこうして出迎えてくれる彼。彼を見ることで、毎回“ここ”に来れたのだということを実感する。


「うん、久しぶり。」


数ヶ月振りに顔を合わせた彼、そして今立っている“ここ”は、どうやら相変わらずのようで安心した。

そう、私は今日からの夏休み期間を“日本”、そしてここ“木ノ葉の里”で過ごすことになる。
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