第6章 @ 木葉秋紀
「カーッ!赤葦!もう一杯いこうぜ!」
「馬鹿じゃないですかこんなにも酔ってるのに…」
空のビールジョッキを片手に声を上げる木兎に呆れる赤葦。
あの試合から10年後、梟谷学園のバレー部は居酒屋にて同窓会擬きをしていた。
みんなアラサーになったが変わっておらず、絢はお酒を片手に懐かしい気分を味わっていた。
「絢ー。久しぶり。」
『あ、木葉。久しぶりだね。』
絢と木葉は元恋人同士で、会うのは卒業式以来だ。
「少し…老けたか?」
『えっ何それ酷い。』
「冗談だって!ごめんごめん!」
そう言って笑う木葉を、まだうっすらと想い続けている絢。
彼女はいるのかとか、そういう質問をしたいが、何となく踏み入ってはいけない気がした。