第3章 壁の中の街
荷馬車から荷物を降ろす前に
私は先に部屋に戻るように言われた
まだ私の存在は団員たちには
知らせるべきではないそうで…
私は1人自室へと戻った
真っ暗な部屋
明かりを灯すと同時に
ベッドに倒れこんだ
「…疲れた」
初めての街は
私がいた世界とは遠くかけ離れたものだった
…車ではなく馬車の時点で
大体察しはついていたが…
食べ物も違えば
文化も違う
おまけに巨人という脅威に脅かされていて
みんな命がけで戦うらしい
大切な人を殺される
そんな痛み
私は経験したことない
街の人たちも
明るく振舞ってはいたが
どこか影があるような
そんな街だった
「次はいつ外に出れるのかな…」
いつまでこの部屋にこもっていなければ
いけないのか
明日はどうすればいいのか
そんなことをぼんやりと
考えているうちに
相当疲れていたのか
私は眠ってしまった