第3章 壁の中の街
「あ!リヴァイ団長!ゆずき!」
買い物を終え荷馬車に戻ると
すでにクリスタが待っていた
「悪い、遅くなったな」
「いえ〜こちらもようやく荷物を詰め込んだ
ところです」
リヴァイは自分の荷物を詰め込み
馬車に乗り込んだ
「さぁ、ゆずきも…
どうしたの?」
口数の少ないゆずきを心配して
クリスタが声をかけた
「…あ、ううん!なんでもない!
久しぶりの外出で…
ちょっと疲れたのかな?」
私は笑顔を作った
「そうだよね…
あ!そうだ!」
クリスタは荷馬車をゴソゴソとあさり
はい!と私に何かをさしだしてきた
「…?なあに?これ」
「あまーい焼き菓子だよ!
私、これ好きなんだぁ」
小さな袋の中に3.4枚ほどの
クッキーみたいな物が入っていた
「街にこないとめったに食べれないから」
クリスタは優しい
可愛いくて気がきいて
理想の女の子って感じ
「ありがとう!
私も甘いの好きなんだぁ」
クリスタはよかった!と笑って
私に馬車に乗るよう促した
中にはすでにリヴァイさんが
座っている
寝てるのかな?
目を閉じて腕を組んで座っていた
失礼します…と静かに隣に
腰をおろす
さっきのこともあって
ちょっとだけ気まずい
「出発しますよ〜」
クリスタの声とともに
馬車がゆっくりと動き出した
私はぼーっと外の景色を見る
さっきまでいた街が
だんだんと遠ざかっていく
帰ったらまた
あの部屋に閉じこもってなきゃ
いけないのかなぁ
やだなぁ
何かできることは…
私にできることってないかな
そんなことを考えながら
クリスタからもらった
クッキーみたいな物を
口に運んだ
「美味しい」