第1章 プロローグ
夕暮れの中を二人歩いていく
彼氏ではないけど、最近よく話す彼
今も他愛もない会話で盛り上がってる
16年間彼氏というものができたことがない
何度か告白はされたけど
全部お断り
私には好きな人がいないんだもの
まわりの友達からはもったいないと言われ
誰でもいいから付き合ってみなよ
なんてことを言われるけど
好きでもない人と付き合う気が起きない
みんなすごいと思う
彼氏を作って毎日楽しそうで
少しだけ羨ましいかな
でもいいの
別に今彼氏が欲しいわけじゃないし
せっかくだから好きになった人と付き合いたい
運命みたいな…そんな人と…
「…ゆずき、聞いてる?」
「ああ、ごめん 聞いてなかった」
「相変わらずポケーっとしやがって…」
彼は私の頭にポンポンと手をのせる
「?どうして今日はそんなに頭を触るの?」
「え…どうしてって…そこに頭があるから?」
「…意味がわからない」
「冗談だって まぁ、なんていうか…
ゆずきの頭って撫でたくなるんだよ」
「どういう意味?」
「えーと…なんだろうな
ま、気にするなって!嫌ならもうしないよ」
「別に…嫌ではないけど…」
「じゃあ撫でる!」
そう言って再び私の頭を撫でる彼
くすぐったいような
少しだけ心地いい…
「ゆずきの髪ってきれいだよな
染めてるのに傷んでないし」
金髪の髪が風になびいた
「なんか…今日は変だよ」
「え?俺?いつも通りだって」
いつもはこんなに触れてこないのに
嫌…なわけではないけど
変な感じ