第2章 別れと出会い
いよいよ作戦決行を明日に控えた夜。
私はここに来て不安が募っていく。
外の空気に当たりながら空を仰いだ。
すると、作戦を発案したあいつも外へ出てきて、私の近くに座る。
「明日…だね。」
気付けば私はそんな事を口にしていた。
その言葉に対して「ああ、そうだな。」と返ってくる素っ気ないやり取り。
それは彼も、不安を抱えているからなのかもしれない。
「お前は、逃げたいと思わなかったのか?」
それは私が、普段より言葉を発していないから感じてしまった事なんだろうと思う。
「逃げたいよ。そりゃ。こんなもの埋め込まれて無理やり戦わされて。もう失う物なんかないかなって思ったら、割と大切なもの奪われて。その代わりに得た物は、戦いでしか役に立たないものだし。」
5人の中で私は最年長。攫われた時期も一番早い。
玄界での生活なんてもう随分昔だから、全く知らない世界と言っても過言ではないと思う。
生まれ育った故郷に戻って、戦いをやめられるのは嬉しいのに、帰る事に対しての不安もある。
でも、
「帰ったら何しようかなー。学校の奴らとか、元気にしてっかな…。」
やっと解放されるという期待で胸を膨らませる皆に背中を押され、私も前を向こうと思えた。
ありがとう。みんなで帰ろう。
一歩踏み出す勇気を貰った私は眠りにつく。
明日訪れる最悪の事態を、出会いの事など知らずに。