第2章 別れと出会い
「ここから逃げよう。」
私と同じく玄界から攫われてきた仲間が言う。
「そうだよ。もうこんなの嫌だ。帰りたいよ。」
「でも異世界なのにどうやって?」
その意見に賛同する他の仲間。
その方法を問う他の仲間。
「確か次俺たちが行くのはメノエイデスだったよな?主力はトリオン兵だし、見張りを突破するのもさして難しくないと思う。」
「でも他国に逃げたって結局私達の扱いなんて同じじゃないの?」
「いや、大丈夫だ。俺聞いたんだ。今メノエイデスには玄界から遠征部隊が来てるって。」
「じゃあそれに乗ればもしかして!」
私を含め、本隊に選ばれた玄界の人間は5人。
その面々で近界民に対する暴言を吐くことはままあったものの、本格的な脱走計画を立てるなど今までなかった事だった。
それだけ玄界への帰還は難しく、夢と消えていた。
「本格的に戦闘が始まったら、おそらくその遠征部隊も帰っちまう。先行部隊ならまだ可能性はある。」
でも今、目の前に訪れたまたとない機会。ずっと何処かで諦めてきた"帰る"という二文字が、私の鼓動を大きくつき動かした。