第5章 一方的な再会
「…これが、今まで絵梨さんが使ってたトリガーなんですけど…」
その後宇佐美から一通りトリガーの説明を受け、絵梨は、本物の絵梨の情報を得た。
一番重要なところで言えばポジションが狙撃手だったという事だろうか。
しかし彼女、近界にいた頃は近距離戦をしていた事から、銃の扱いはそこまで得意とも言えない。ただ流石にポジションを変えては下手に怪しまれるのではないか。そう思い、そのまま狙撃手を選択したのだった。
「とりあえずわかったにはわかったけど、実戦でないとなんとも言えない…かな。」
トリガーホルダーを握ってその感触を感じる。
この中に組み込まれたトリガーを使いこなす事で絵梨という人物に近付ける。
それもあって、出来るだけ変えたくないという事が本音としてあるものの、戦えなくては意味がない。
「じゃあ模擬戦やってみますか?ちょうど休憩してるみたいですし。」
宇佐美の視線の先には4名の隊員の姿。
いずれも見知らぬ…いや、1人だけ、よく知った気配と似ている様に感じた。
それを確かめたいと感じたのか、絵梨はその者の前に立ち、鋭い視線を彼に向けた。
「君、ちょっと戦ってもらえるかな?」
「ふむ。いいけど。」