第6章 finale
逆光の中、慈愛に満ちた彼女の笑みはあまりに美しく、ヴィンセントの心に再び熱を持たせた。
彼は彼女を待つ間小屋の外で少しの間考え事をしていた。思い詰めるようなことではない。シャロンといると、いつか過去に区切りをつけて前へ進める時が来るような気がする。そんなことを考えていた。
「ヴィンセント」
身だしなみを整えたシャロンが何かを持ってやって来るとヴィンセントに手渡す。
「これは……?」
「昨日あなたから聞いた話を思い返しているうちに漠然と思い出したの。あなたの置き土産の銃」
「ああ……懐かしいな……」
「まだ使えるかしら?」
ヴィンセントが銃を受け取り、パーツを確認する。
「さすがに錆びているな……。磨けば使える部品はありそうだが……」
「じゃあ、お守りにする」
「お守りか……。昔を再現しているようだな?」
「そう? 無くした時間を取り戻したい。もう一度はじめからやり直せたら……」
「……ならば……やめておこう。思い出をなぞらえたら再び離れ離れだ……。これからは……新しい記憶を共に刻むとしよう……」
ヴィンセントはさらりとキザなセリフを口にしながらシャロンの手を取り歩き出した。過去の銃をその地に残して。