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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第2章 cradle


 過去のレポートを読みながら、ルクレツィアは当時のことを思い返していた。
シャロンが発見された地は、この地より北東の大陸。この辺りでは見かけない珍しい花に彩られたその棺の美しさに感嘆したものだ。
そこに眠る少女の美しさもまた際立って、まるで絵画のようだった。
 しかし、どんなに遡っても、やはりシャロンのそれ以前のことはわからない。
ヴィンセントにどうしてもと頼まれて過去のレポートを引っ張り出してきたが、彼の求める情報は記載されていないようだった。
 資料を畳んで机に置く。彼のあの熱意はどこから来るのだろうかとルクレツィアはため息をつく。
少し前まではルクレツィアにべったりだったのに、シャロンと出会ってからは不在にすることが多くなっていた。

「全く、護衛の任務はどうしたのよ」

 護衛とはいえ別に付きっ切りでいなければならないわけではない。彼女もわかってはいるが、どうも釈然としなかった。いつも側にいるのが当たり前になりつつあったから。
 だが、それでいいのかもしれない。ルクレツィアの脳裏にふいに浮かび上がるグリモア博士の顔。ヴィンセントの父である彼は、実験中に起こった事故が原因で亡くなった。そのためルクレツィアはヴィンセントに対し負い目を感じていた。グリモアは自分を庇って亡くなったのだから。それならいっそこのままシャロンにのめり込んで、自分のことを忘れてくれたほうが気が楽だ。そう自分に言い聞かせて、ルクレツィアはヴィンセントに対して次第にぎこちない態度をとるようになっていった。
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