第9章 瞳の住人
ティファがそれに続く。
「ケット・シー……バレットは、もう、わかってる。私たちがミッドガルでやったことはどんな理由があっても決して許されない。……そうでしょ? 私たち、忘れたことないわよね?」
誰もが後悔を背負って生きていた。それでも前へ進む。それぞれの目的のために。
「よし! 行くぞ! 俺たちの手でウェポンを倒してやる!」
クラウドの号令でメンバーが動く。
陸地でウェポンを迎撃し、戦闘でなんとか進軍を遅らせるが、苦戦しながらも確実に体力を削れている、手応えを感じ始めていた時、ウエポンは突然、何かに呼ばれるように方向を変える。
そして、ケット・シー伝いに新たな問題が発覚する。
魔晄キャノン『シスター・レイ』が、宝条によって起動されているということ。
一行は、宝条を止めるため、ミッドガルへ向かうこととなった。
シャロンもヴィンセントも、こんなに早く宝条と決着をつける時がくるとは思っていなかった。二人顔を見合わせ、深く頷く。
甲板に出ると、皆は早速装備を変えていた。
「えっ、ぱ、パラシュート?!」
「そうだ! 地上がダメなら空からだ!」
船を近づけられないため、上陸作戦にパラシュートが採用されることになった。
怖気付くシャロンを、ヴィンセントが小さく口角をあげ抱き上げると、マントをはためかせ船の端まで移動する。
「ヴィンセント! パラシュートは!」
「必要ない」
「きゃあああぁぁぁぁ!」
ヴィンセントは叫ぶシャロンを抱えて颯爽と船から飛び降りていった。
他のメンバーもそれに続きパラシュートで次々に降りていく。
キャノン砲への道は地下が採用された。
「あ、来ちゃった。先輩どうするんです? もう命令なんて無視しちゃっていいと思うんですけど」
金髪の女と、それに続いて同じスーツ姿の男性が現れる。
「……イリーナ、甘えるなよ、と」
「俺たちはタークスだ」
「えっ、タークス?」
シャロンが聞き覚えのある単語に声をあげる。
「えーっと、お前は誰だ、と」
「……シャロン」
「シャロン? どこかで……確か神羅の保護対象にそんな名前がなかったか?」
「かなり古い任務ですけど、未完了リストにありましたね」
「今はそんなところまで気にしていられないぞ、と」
タークスたちの会話を黙って聞いていると、彼らは武器を抜く。