第3章 ハイキュー‼︎/黒尾鉄朗
「わっ、降ってきた…」
雨がよく降る季節になりました。
みなさま、傘をお忘れなく。
雨に濡れて風邪をひかないように注意しましょう。
「っくしょい!」
と言ってるそばからクシャミをしている人がいますね…。
って、ごめんなさい!!
「なーに見てんのー」
「えっえっ」
背が高くて長めの黒髪を垂らして、目つきの鋭い男の人と目が合ってしまいました。
何この人、めちゃめちゃ大きいよ…。
「なに "?" 浮かべてんの?ちゃーん」
そしてなぜか私の名前を知っている。
私、知らないうちにヤンキーさんに喧嘩を売っていたのでしょうか…。
ごめんなさいお母さん、お父さん、お兄ちゃん。
私は今日、みんなとお別れしないといけないかもしれません。
なんていう親不孝者…。
「あー、お前あれか、オレのことわかってねーだろ」
「…?!…?!」
「く、ろ、お!」
「ふぇっ」
「黒尾鉄朗くんデース」
なんと、ヤンキーさんと思っていたこの人は、同じ高校の先輩である黒尾さんでした。
そういえば、この人と初めて出会った時も雨だったような…。
『んーどうすっかなー』
道端にうずくまってブツブツと何かを言っていた。
よく見ると、その足元には黒い子猫が入った段ボール。
その日はシトシトと小雨が降っていた。
雨除けがあったものの、寒さで震えている様子の子猫をどうしようかと悩んでいたようだ。
『あ、キミ確か…研磨と同じクラスの!!』
『ふぁいっ!!!』
突然大きな声を出すもんだから、変な声が出てしまった。
恥ずかしかったけれど、手招きをするのでそろりと近寄ってみる。
すると、黒尾さんは子猫を指差して、どう?と聞いてきた。
どうって…。と戸惑っていると、飼いませんかにゃ?なんて言いながら子猫を顔の前に突き出すもんだから、思わず笑ってしまい、飼うことにした。
家族も賛成してくれたから良かったものの、その子はみるみる元気になっていった。
『飼いますにゃー』
あの日から、時々その子猫の様子を聞いてくる黒尾さん。
だけど関わりもない先輩だし、背は高いし、怖いし、変な髪型だしでいつもドキドキしっぱなしだ。
それに今日は髪型が違っていて更にドキドキさせられた。
「くろおさん…」
「ハイ正解です」